第1分科会  「進徳図書・古文書等説明と見学」


 司会者・北山 ひろみ(伊那市立高遠町図書館)
 説明者・森下 正夫先生(前高遠町図書館長)三溝 恵子(伊那市立高遠町図書館)
 
1 高遠城址・高遠藩校進徳館見学
  茅葺き屋根の古い建物「進徳館」の額や孔子をはじめ五聖人像など見学する。

2 高遠町図書館において「高遠藩校進徳館蔵書本」の説明
・ 進徳館の蔵書は明治4年の廃藩置県、同5年の学制頒布により取り巻く情勢が変わり、図書をめぐる紛争に至ってしまった。このため蔵書本の凡そ3分の2は筑摩県、長野県、長野師範学校と長い旅を余儀なくされた。
平成4年信州大学へ図書の返還を申し入れ、根気強く交渉した結果貸与されることになり、平成14年128年の旅を終え合計6349冊の蔵書本が故郷高遠に揃った。
・ 郷土資料は本来その資料が発生した場所に集めた方が良い。
・ 高遠文庫は文政13年(1830)足利学校に倣って高遠の藩儒や神官が作り、貴重な文献をよく集めた。これらは後に進徳館の蔵書となり活用された。
図書館の仕事の一つは、将来古典として残りそうな本を今買っておかなければならない。
・ 明治の終わり頃会員制の「高遠図書館」が出来、巡回文庫を行い読書推進活動が活発であった。その後高遠出身の著名人伊沢修二や中村弥六等が寄附を集め「高遠進徳図書館及び美術館」を建てたが、あまり活動しない内に終わってしまった。
立派な建物というより、図書館は志をもって運営にあたる人が大事である。

3 高遠町図書館及び古文書館・古書資料室(進徳図書)見学
・ 江戸時代の和綴じ本「蕗原拾葉」から天明の浅間山の噴火図、川中島五戦記や「希月舎文庫」から大塩平八郎の乱を知らせる「大坂異変」の手紙の写しなど
 古文書から町方文書、伊能忠敬が高遠へ測量に来た文書など

4 質疑
・ 高遠町図書館の分館の状況はー距離的に遠い地域に2館と小、中学校に各1館計4館あり、定期的に本の入れ替えをし、リクエストも受けて利用してもらっている。
・ 古文書に関するレファレンスはどの位あるかー昨年は約150件
・ バリアフリー化について(図書館へ上ってくる石段が急である)ー手摺を設けるなどしているが、他に書架の間が狭く車椅子対応をしなければならない。
・ 夜間の開館状況―文化センターとの複合施設のため、火から土曜日までは8時まで開館
今年7月の夜間貸出は約500冊
・ 図書館の実績統計・年間行事を教えてほしいーリストで説明
・ マンガ本のリクエストは受けているかー受けていない
・ 今年度の資料費はー540万円

5 まとめ
 郷土資料は本来その資料が発生した場所にある方が望ましく、職員は資料収集に努め利用者の活用に供していきたい。   
図書館は立派な建物もさることながら、本(資料)と利用する人との仲介役としての図書館職員が大事である。職員の資質の向上を図っていきたい。    
 

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第2分科会 「公共図書館の経営と課題(子ども読書推進計画)」
 
司会者 久保田毅(喬木村立椋鳩十記念図書館)
発表者 五味 仁(茅野市図書館)

○司会者のあいさつがあり、自己紹介を兼ねて「子ども読書の日」について各図書館の実情を話してもらう。
・プロジェクトチームを作り読書の推進を図っている。
・子どもの本をできるだけ用意できるよう力を入れている。お誕生会、おはなし会の実施。
・スタンプラリーを実施、本の内容をある程度答えられたらスタンプを押す。
・市民読書の会(ボランティア団体)では、ブックスタート・赤ちゃんおはなし会等に協力。
・10ケ月検診時に実施しているブックスタートでおはなし会を行ったら大勢集まった。
・子ども読書推進計画は、策定終了、現在策定中(今年度中に策定)、まだ手をつけていない等の意見が出された。

○レポート発表T 「子どもが育つ読書環境の整備」についての発表
 ―ちの子ども読書の森づくりプラン(茅野市子ども読書活動推進計画)―の説明があった。 市民団体「読りーむinちの」の協力を得て、読書の森づくりを実践している。ファーストブック、セカンドブックプレゼント、保育園での絵本の時間の実施、小・中・高での朝の読書、高校・各施設でのおはなし会等を実施している。
〈話し合い〉
・予算は、 ファーストブック(出生時と4か月検診時)に200万円、セカンドブック(小学校入学時)に100万円を計上している。
・ブックスタート事業を図書館主体で行っている。
・市で行う5ケ月検診時に本の読み聞かせをし、プレゼントしている。

○レポート発表U 「読書活動推進のための連携・協力した取り組み」についての発表
図書館自体でボランティア講座を開催している。おなかの赤ちゃんおはなし会、読書出前講座等、自主ボランティアグループを含めいろいろなボランティアグループが活動をしている。
ボランティアあっての図書館だと痛感している。
〈話し合い〉
 ・ボランティアの代表から……ブックスタート事業は、立ち上げ時から協力している。赤ちゃん連れの親の参加が多くなった。また、毎月0歳・1歳児を対象におはなし会を実施、児童会での読み聞かせ等を実施している。
 ・読書の推進を進めるには、ボランティアの力を借りないとうまくいかない。「読りーむinちの」のような市民団体をうまく育てるにはどのようにしたらいいか。

○レポート発表V 「読書活動への理解と関心のための啓発活動」についての発表
 行政だけでは活動できないので、市民とのパートナーシップが必要で茅野市図書館基本計画策定委員に「読りーむinちの」メンバーも入っている。自分たちの意見が入っているので、自分たちも実践しなければという気持ちになる。
〈話し合い〉
 ・行政の関係する課と連携して推進していかなければ、図書館だけでできるものではない。
 ・単独ではなく、ボランティアの力、市及び教育委員会との関連で作られていくのだと思う。茅野市のプランを参考に進めていきたい。
 ・啓発については、インターネット、図書館だより、館報、広報、有線放送等でPRしている。

○「図書館経営の課題」
 ・子ども読書推進計画をつくり、計画に沿って実践していくことが大切。
 ・図書館の建物が古く、非常に狭い。

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第3分科会 「地域住民のニーズと公共図書館サービス」 
レポート
下條村立図書館 司書 近藤明子

レポート発表
 平成6年10月採用 12年目  前歴  飯田市立図書館で2年臨時職員で勤務
下條村図書館は、正規1人、嘱託1人で運営 日々の仕事に追われている毎日である。
下條村は、下伊那で最小の面積の村  1割が転入者である。
特殊出生率は 10年から14年が1.97  17年は 2.01であり他と比較して高い。

現在の伊藤村長の政策により、生涯学習アンケートを実施
図書館の建設を望む声が高かった。
 青年の館の建設 あしたむらんど の建設へ
 図書館の建設にあたり、正規職員として図書館の司書の採用が決められた。
 経験のある司書の採用を行うこととなった。
 平成10年から県内2位(人口1人あたり)の実績である。
 住民のニーズによって作られたものである。 使いやすい工夫として、間口を広くする。
 カウンターでのおすすめ本の提供 個々でのおすすめ本の提供を行う。
 年齢を問わずに利用いただけるような配慮を行っている。
 平成13年〜 ブックスタート事業 5冊のうち2冊を選びプレゼント
 おはなし会、  小学生のおはなし会 職員の読み聞かせを学年ごとのリストの作成し行っている。

教育機関との連携
職場実習  年2回読書週間  クラスのカード 上限200冊としている。

いきいきらんど  古本のリサイクル市
最近入館者が20万人達成した。

今後の課題
地域住民のニーズに沿っていけるか  成長しつづけられるか メリットがあるかないか 公務員が運用すべきか どんなメリットか ピンチの中のチャンス
効率化  地域住民のエネルギー
期待されるもの
 ビジネス支援  接客サービス 地域ニーズとあったもの
 村の情報センターとしての役割
 住民が図書館を使うことが必要  そのために専門性を高める

質疑
193 理事者、議会の理解を得るための方策は  利用の状況 学校授業での利用状況
   隣接町村からの状況は

A 小中とも図書室はある。 小は担当はいない。
 小学校の予算 30万 
 中学の場合、専任はいないで担当の先生がやっている。
利用の状況としては、赤ちゃん連れが多い。(車での利用が多い)
村内を福祉バスが回っているが 図書館は組み込まれていない。

質問(安曇野市から)
 年代層は 新刊本の基準は

答 赤ちゃんから12歳の子と、その親の世代が多い。(30代から40代)
  6割が児童書である。 壮年層の利用が少ない。読書月刊を設けてから50代があがってきた。
新刊の基準は  予算350万 内50万がビデオ
リクエスト、利用者の顔をみながら選書
郷土資料、地図等は、別枠予算である。 参考図書は寄贈本で賄っている。

安曇野
 県内1位を目指す方策等は

A 村長はよく気にしているが、現場としてはあまり気にしていない。

助言者
 下條村の司書の方の開館以来のがんばりを直接聞くことができた。それぞれのとこれで参考になると思う。
 今後の視点として、厳しい状況の中で確実に利用者を考えるとき、児童書に力点をおくことは一つの戦略であると思う。どのようなあり方が住民により利用されるか、限られた予算の中で検討していく必要がある。


等の議論があり、議論としては途中であり、確実にまとまった物とはならなかったが有意義であった。   

 記録 上田図書館 成澤英之

 

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第4分科会  「特別な支援を必要とする方々の要望にあった支援のあり方」


 
助言者 中村 和徳(伊那市美篶公民館長) 司会者 橋爪 紗英子(伊那図書館鈴音の会)        
発表者 唐澤 文江(箕輪町せせらぎ会) 
      下平 三恵(伊那図書館鈴音の会)
      有賀 美知子(南箕輪村社会福祉協議会朗読の会)

1 発表の概要 (詳細はレジメ参照のこと) 

2 討議の概要 (質疑応答)                   
 (1) Q 紙芝居について説明してほしい。 A 手作りは「八乙女物語」のみ。発表は、町図書館のものを持参し、何人かで一緒にやる。
   Q テープ図書提供から施設訪問などへと活動が広がったのはなぜか? A テープ録音は、現在は社協がやっており、テープの受け渡しだけしている。
   Q 練習は? A 紙芝居は、月に2、3回集まり練習している。パネルシアターは、教育センター図書館講座で勉強した。
   Q 活動費は? A 年会費2千円。社協から1万5千円。「生き生き塾」の活動は無料。
その他の活動は少し謝礼が出る。年合計10万円位で活動している。
   Q テープ録音は? A 社協だより・広報みのわを月1回、2名で録音している。1月を1人で読み、自分で校正する。
 (2) Q 音訳テープを箕輪の人が聞きたい場合は? A 地域に規制はない。申し出があれば可能と思う。是非広めてほしい。
   Q 利用者の拡大は? A 今は個人情報保護のため、公共機関では教えてくれない。上伊那の障害者グループの会などから情報を集めるしかないのでは。利用者の口コミに頼るしかない。なぜ図書館に音訳の会があるのかを認識することは、とても大事なことだ。(文部省より、平成4年「公立図書館の設置運営に関する基準」が示され、その中に「障害者へのサービスに資すること」と明記されている。)機会をとらえて宣伝・普及させる必要がある。
  (Q)安曇野市も5町村が合併し、中央図書館・各分館をどうするか検討中だ。今、話のあった「図書館の基準」を大切にしたい。
 (3) Q 読みにくい文は読みやすく、とは? 活動内容からすると、朗読より音訳だと思うが。

A 最近は専門家が作成しているので少なくなったが、村報に文章の不備があった時、聞いてわかるようにする。(鈴音の会)講習では、「淡々と、誤植はそのまま読む」と教わった。社協では、聞いてわかりやすいように一部直している。 
   Q テープ配送は?社協職員の関与は? A 社協にお願いしている。社協のボランティアグループなので、講習会費は社協から出る。図書館には、本の読み聞かせの会がある。

3 まとめ
司会者 3グループとも、「利用者の拡大」「会員の資質の向上」「会員の高齢化・会員の拡大」など、課題は同じでは?今後とも努力したい。

助言者 3つの助言をしたい。
 (1) 研修について。  目の悪い方は、耳で人を見る。会員は、気持ちの在り方・健康管理を怠らないように。勿論、技術の向上は大事。利用者の皆さんと関わることで、会員も元気を頂くという気持ちが大事。
 (2) 正しく。  固有名詞・地名などは正しく伝えなければならない。地名の一覧表など、各グループで交換するのも良いのでは。
 (3) 行政と仲良く。  福祉課・民生委員・社協などと話をつなぐのも大事。音声システムの整備にも期待したい。
皆さんの日々の活動に感謝したい。 

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第5分科会 「これからの学校図書館教育」 (1)司書教諭としての第一歩


発表者  小林 康弘(県図書館協会小中学校部会 司書教諭委員会・佐久市立野沢小学校)

1 発表の概要


(1)司書教諭の仕事とは何でしょう。
・ 一人ずつの考えと自己紹介
○ 年間指導計画作成
○ 学び方を学ぶ指導
○ 読書指導
○ ボランティアの活用

(2) 学校司書の先生と協働して仕事を進めていきましょう。
・ 例とそれぞれの学校を比べながら説明
○ 学校司書の勤務を知る
○ 図書館の仕事の全体像をつかむ
○ 忙しい4月のスケジュール例
○ 選書
○ 学校司書との連携

(3)図書館だよりを出しましょう。
・ 目的・書く人・読者対象の例

(4)図書委員会の活動アイディア
・ 活動例の紹介

(5)読書週間の運営アイディア
・ 各学校の例紹介

(6)みんなが書ける読書感想文
・ 読書を通して新しい自分に出会うことの感動を書く

(7)年間計画を作りましょう。
・ 全国学校図書館協議会のホームページ活用

(8) 学び方を学ぶための指導
・ 年鑑の使い方指導・実技

(9) 読書指導
・ アニマシオンをやってみよう
   「13の扉」注文の多い料理店:宮沢賢治

 

2 まとめ
 発表者の小林康弘先生には、世話係・助言者・司会者の全ての役をやっていただきました。司書教諭の仕事を具体的に説明していただきました。また、年鑑の使い方やアニマシオンは、ワークショップ形式で実際にやりながら学ぶことができました。学校現場に戻り、実際に生かしていきたいと思います。

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