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分科会記録

第 1 分 科 会


分科会テーマ 公共図書館の経営と課題
分科会協議題 地域に根ざした図書館をめざして

発表者    吉澤 真紀(飯田市立図書館)
司会者    内野 安彦(塩尻市立図書館長)
記録者    吾妻 忠彦(坂城町立図書館長)

1 発表要旨
「飯田市立図書館の全域サービスと地域との連携」(吉澤 真紀)

  • はじめに(発表者の立場)

飯田市の公立図書館は、中央図書館のほかに、地域図書館2館、分館16館がある。昨年度まで8年間勤務していた中央図書館での「分館担当係」としての実践。

  • 飯田市全域のサービス
    • 飯田市全域に約4割、他地域に約6割の市民が居住し、中央図書館から車で1時間かかる分館もあるという状況で、「図書館としての全域サービス」を課題とした。
    • 現在、中央図書館と2つの地域館はコンピュータ化されているが、分館は、まだ、手貸しであり、目録カードを使った資料検索が行われている。多くの分館は水、土の週2日の開館で、1回の貸出冊数は1人4冊まで。このような条件のもとで、16分館の分館利用者数と貸出冊数は、過去11年間で約1.6倍の増加となっている。このことに最も良い影響を与えたのは、中央図書館、地域図書館、分館をつないだネットワークシステムとそのサービスである。
    • 利用者サービスの向上を目差すには、全図書館職員の意識の共有化を図りながら、中央図書館と分館の信頼関係を築いていくことが大事であり、そのため、職員の意識の中心に、「予約・リクエストサービスの徹底」を置くように努めた。

・利用者のどんな要求にも応えるのだという意識 ・分館では対応できないリクエストや調べ物は、中央図書館へ連絡 ・分館へ要求を出してくださった利用者を大切に ・利用者の要求を引き出すような対応を
・施設、用具も大事だが、一番大事なのは、図書館職員としてのその職員自身の意識

    • このようなサービスの徹底を図ってきた成果か、中央図書館から分館への貸出冊数は、過去10年間で、約3倍に増えている。分館利用者からのリクエストに対し、中央図書館と分館の職員が意識を共有し、丁寧な対応を繰り返していくことで、中央図書館と分館の間、分館職員と地域の利用者の間の絆も結ばれ、信頼関係も増していくと思われる。
    • 分館の体制

・分館長1名 ・分館情報サービス係4~8名 ・公民館主事1名
※中央図書館の分館担当3~4名(巡回2~3名、受け入れ1~2名)

    • 分館会議 等

・分館長及び主事会(年2~3回) ・分館研修会(年2回) ・分館係会(随時)

    • 分館巡回

・水、土、日の午後、担当が巡回 ・上村、南信濃分館は月数回、別の曜日に巡回
・新刊本、リクエスト本の配本 ・日常業務の相談

  • 分館における地域の図書館としての活動(分館独自の事業による地域へのPR)

・公民館、まちづくり委員会、小学校、保育園等地域内の施設、読み聞かせボランティア等との連携
(お寺でのお楽しみ会、工作、手芸、絵手紙など)

  • 今後の課題

・分館に対する認知度の向上 ・開館時間の拡大など賃金を伴う協力を求められたときの対応
・地域の特色を出した図書館づくり ・地域・市民ニーズへの対応 ・分館のコンピュータ化
2 自由討議で出された主な問題
・有資格者職員の不足 ・嘱託職員給与改善(昇給・月給) ・閉架書庫不足への広域対応 ・国民読書年

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第2分科会


分科会テーマ・・公共図書館サービス
分科会協議題・・図書館の広域サービスを考える

発 表 者・・・坪田 秀彦(上田市立上田図書館長兼丸子金子図書館長)
司 会 者・・・甘利 修(市立小諸図書館長)
記 録 者・・・伊藤 ひろみ(東御市立図書館)

1、発表主旨・・「図書館の広域サービスを考える」    坪田 秀彦

(1)プロジェクターによる上田市管内図書館の概況説明及び、エコールネットワーク(広域サービス)の内容説明。▶ 大会資料 P25参照

(2)今後の課題
・職員数の不足・・パートは6時間勤務  朝は10時まで正職員で対応
・繁忙時間・・回送本到着時間とパート職員の退庁時間の兼ね合いが難しい
・資料の分担収集=特色ある図書館・・経費削減により困難
・他館貸出禁止・・新刊本は各館の資産? 人気本が3ヶ月間借りられない=分担収集に反する
・共通の利用環境に・・FAX予約禁、Eメール連絡先行試行、インターネット予約検討
・開館・閉館時間の不統一・・他館とのコミュニケーションがとりにくい
・休館日の不統一=市内全館休館日の削減調整・・正規職員の労働増
・館長会議・事務担当者会議での意思統一・・係長・司書の立場=交流の場がない

2、協議内容

◎ 現況報告 
松本市・・平成18年、システム更新により、波田町と物流化
小諸市・・広域連合の対象がない
箕輪町・・上伊那と共通システムをとり、広域化していく方向
飯田市・・各館の個性を生かした図書館作りの難しさ 住民から広域希望の声が出ない
小諸市・・月曜休館日を水曜日に変えてほしいとの要望

◎ 廃棄本の処理について
小諸市・・平成24年度、新しい図書館建設(小諸駅舎)面積が確保難
廃棄本の処理について、図書館準備室と共に検討中
上田市・・各図書館の判断  リサイクル本で住民に還元する館が多い
箕輪町・・郷土史は廃棄しない
飯田市・・郷土史は廃棄しない  実用書は廃棄  賞を取った作品は廃棄せず、テーマブックコーナーへ展示  リユース(毎土曜日)=市民に還元、100%はける
中野市・・電算化により、郷土史(最高5冊)、文学は残す  情報・実用書から廃棄    
諏訪市・・他館に所蔵の検索(文学作品や利用価値のある作品)

◎ 貸し出し期間・貸し出し数
上田市・・3週間  10冊まで  期間が長いと貸し出し数も減る
諏訪市・・2週間  相互貸借では3週間
大町市・・3週間  予約が入った時点で3週間後に催促  継続貸出可能
松本市・・2週間  継続貸出可能
中野市・・継続貸出は2回まで  カウントされない  長期延滞は継続貸出不可能
蓑輪町・・貸出制限してみたが、冊数は増えない
上田市・・返却期限前に来館し、予約がかかっているか確認し、故意に返さない利用者もいる
安曇野市・・もの珍しさか新規登録者が多く冊数も増加 ラウンジの充実で1日居る人もいる 

◎ 図書カード
上田市・・エコール内統一
諏訪市・・統一カードではない為、二重登録が必要
安曇野・・しばらく統一しなかったが、複数カードを統一  中央図書館が出来たのを機に、ジュライトカード作成

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第3分科会


分科会テーマ   特別な支援を必要とする方々の要望にあった支援のあり方
分科会協議題   対面朗読ボランティア活動について

発 表 者   山本 佑子(朗読ふれあいの会)
助 言 者   手塚 英男(松本大学松商短期大学部非常勤講師)
司 会 者   林 美智子(朗読ふれあいの会)
記 録 者   丸山 兼代(朗読ふれあいの会)

 発表要旨
「対面朗読ボランティア活動について」      (山本 佑子)

(1)活動の紹介
松本市障害者支援活動事業の中の視覚障害者を対象とした対面朗読ボランティアである。すぐお役に立てる支援の方法としての対面朗読は、利用者とコミュニケーションをはかりながら気持に添った朗読が必要となる。朗読リーダーを中心に月1回の勉強会を持ち、聞きやすく、質の高い朗読が出来るよう「朗読の基本」「滑舌の訓練」等学びながら朗読に挑戦している。

(2)活動の内容
対面朗読は2人1組2時間が基本。自宅を訪問して、または図書館の朗読室にて行う。「対面朗読の留意点」を常に心に留め、利用者の意に沿った朗読を心掛ける。また、プライベートサービスとしての録音は、その方だけのために録音し、お届けする。

(3)今後の課題
視覚障害者だけでなく要望の多い高齢者、老人福祉施設等への利用を拡げたい。
対面朗読は図書館というバックがあるからこそ、利用者の安心感と信頼を得ていると思う。発足当時のあり方に戻って十分な連携を深めていくことが大切ではないだろうか。多彩な趣味を持ち、挑戦する利用者さんの力強く積極的に生きておられる姿勢に、私達が刺激を受け、学ばせていただいている。お互いに支えあい、励ましあって心豊かな日々を積み重ねて行けたらと願っている。

(4)「利用者の立場からの対面朗読活動について」  (滝沢勝男)
・視覚障害者は外に出るか内にこもるかのどちらかである。(私は外に出る)
・旬のものが旬に味わえる。今読みたい本がすぐ読め、それを仕事に使える。非常にありがたい。
・ 水環境を中心とした研究を続けているが、それに必要な本を、朗読時間を増やして読んでもらった。今の学習の基礎となっている。私の財産である。
・ 趣味の広がり。新刊本は我々にはわからない。趣味に関する本を紹介して、探してもらった。
・人生の締めくくりにゆっくり読みたいと買い求めた本(日本の歴史)、これを今読んでもらっている。非常に感謝している。

2 協議内容

  • テープ図書、デイジー図書作成に係わっているグループが多い。図書館での対面朗読を実施しているが、訪問朗読を実施しているのは松本だけである。プライバシーの問題もあり、なかなかそこまでに至らない。しかし実施したいと考えているグループもあり期待できる。
  • プライベート録音の著作権問題はないかとの問題提起があり、テープの最初に「プライベートサービスです。複製または他の人に貸すことはしないでください」という一文を入れているという提案があった。

3 助言者助言
図書館には、いつでも、誰でも、どこでも、何でも、無料でというモットーがある。「誰でも」は特に、情報から隔てられている人達にどうやって情報を届け利用してもらうか、そこに重点を置いて考えなければならない。
立ち上げ当初対面朗読は図書館の事業という位置付けをし、実際の活動は
「ふれあいの会」で行うという協働の形であった。
この活動を進める運営委員会(図書館協議会・福祉協議会・利用者代表・ふれあいの会・図書館職員)があり、問題点や要望の解決にあたっていた。今は図書館との関わりが根本的なところで変わって来ている。原点に返りもう一度図書館と論議していくことも大切。情報機器の時代だが本当のコミュニケーションとは人と人との関わり。
機械化が進めば進むほど、今読んでいる本に書いてある事等を共に話し合いながら対面朗読をするということは、とても大事なことである。16年間「ふれあいの会」でやって来た活動が長野県のあちこちに広がっていけばよいと思う。図書館とそこに集う住民が「図書館福祉」というテーマを中心に進めて行くことが大切。それを根本にして図書館の朗読活動も進めて行ってほしい。

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第4分科会


分科会テーマ これからの幼稚園・保育園図書館教育

発表者 児玉 一恵(岡田保育園),大和 恵子(こどもプラザ),中川 信子(りんご文庫)
助言者 原田 紗千子(福音館社外講師)
司会者 田中 はる子(神林保育園)
記録者 古林 芳信(清水中学校)

 

1 発表要旨
(1)「この本読んで・・!」「もういっかい!」絵本って面白い、楽しいと思える子どもになってほしい〔岡田保育園 児玉 一恵〕
子どもたちを捉える,環境を整える,絵本を選ぶ 子供たちは絵本を読む・読んでもらうことが好きである。読み聞かせも意識的に実施しており,楽しみにしている子供も多い。園には「まじょの部屋」という部屋を設け,自由に手に取ることができるようになっている。また,地域の方との交流も実施している。家庭から絵本の読ませ方がわからないといった声も聞く。子供たちが遅くまでTVやゲームをしている実態もある。職員間ではどんな絵本が良いのかを選ぶことが難しい。

(2)「いないいないばあ」からはじまる絵本の世界〔こどもプラザ 大和 恵子〕
生後間もないお子さんを持つ保護者に,どんな本がよいか紹介したり母親向けの読み聞かせなども行ったりしている。(母親が)本好きになるきっかけになればと思い,絵本作家の講演やブックアドバイザーによる本の選び方講座,みんなの前で本を読む,といった活動を行っている。お母さんには「自分の手元に本があることの大切さ」を知ってもらいたい。また地域に開かれた場所にしていきたい。

(3)「もういっかいよんで・・・」「またきてね!」〔りんご文庫 中川 信子〕
りんご文庫は,地域文庫をきっかけに生まれた。かなりの年月にわたって活動している。主に地域の子どもたちを対象に,読み聞かせや貸し出しだけでなく季節にあった様々な活動をしているが,その内容は公民館とも連携している。読み聞かせを行うと,子どもたちの「また読んでね」の声が忘れられない。また,月2回「語りの会」を実施している。これには様々な年代の人が参加し,読み聞かせ方の勉強をしている。絵本を選ぶには,奥付を見て20年以上経過しているものであれば,長年の経験からまず間違いはないと思われる。

2 協議内容
(1)環境整備がされていて,絵本と子どものつながりの深さを感じる。(前日の公開授業から)。どんな本を選べばよいのかということが話題になっている。
(2)保護者に本好きになって欲しいが,どのように伝えればよいのか。家庭では絵本を読んでいないという実態がある。
(3)聞かせる相手に合わせてどんな本が良いのか勉強している。読み方には色々なやり方があってよいと思う。読んでもらうことは,心地よいことである。

3 指導者助言
日々の生活の中に本があることの大切さが伝わっている。本に関心の低い保護者への接し方は,現場だけでなく地域・行政とも連携していく必要がある。良い本を選ぶには,まず自分が本好きであること,本を知っていることが大切。また,絵本は子どもが最初に目にする本であるからとても重要で,将来子どもが本好きになるかが決まる。子どもというのは「全人的」に成長していくので,偏りのない本を読み聞かせたい。

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第5分科会

分科会テーマ  これからの学校図書館教育
(1)司書教諭としての第一歩

発表者  
低学年 米山郁子(通明小学校) 五味みゆき(芝沢小学校)
中学年 吉田真弓(篠ノ井西小学校) 藤田波留美(秋津小学校)
高学年 林尚江(岡谷小学校) 小林吟江(上田市立西小学校)
中学  小林康宏(芦原中学校) 栗林章善(高綱中学校) 藤原友二(墨坂中学校) 菅沼千夏(鼎中学校)
司会者    小林康宏(芦原中学校)    
記録者  米山郁子(通明小学校) 

1 発表要旨
(1)小学校低学年 図鑑を使って調べよう~じどう車くらべ~
1学期にひらがなを読めるようになった小学校1年生が、いよいよ本から情報を見つけて自分で自動車の簡単な説明文を書く学習「じどう車くらべ」。この時期のそれぞれの子どもの力に応じた、使いやすい本や図鑑を探すワークショップを行った。子どもの姿①ひらがなが読めるようになったばかり②カタカナを習い始めたところ③難しい表現や長い文はまだ読み取れないという3つのポイントを考えて、教科書と同程度・簡単・難しいという3段階に本を分け付箋を付けた。自校に必要な蔵書構成や購入に役立てられる様に配慮。選書について悩みあり、演習が役立ったとの声あり。

(2)小学校中学年 調べ学習はじめの一歩!
調べ学習が始まる中学年では自分で本や資料を検索できる力が必要になる。そこで今回は「本の住所を知って本を探しに行こう~請求記号と分類~」で請求記号と分類を模擬授業で学んだ後、請求記号から本を探すゲームを二人一組で行った。次に学習カードを使いながら「百科事典の使い方」で五十音順の項目と主題別の項目を学び、背表紙から自分の調べたいことが載っている巻の検討を付ける力を育てる学習のワークショップを行った。中学でも取り組んでみたいという参加者の声あり。

(3)小学校高学年 本の使い方にくわしくなろう
調べたいことがどの本に載っているか探せるように目次と索引を使いこなすための学習。最初に目次と索引が載っているプリントから「何類の本か」「キーワードは何か」「どんな内容の本か」ということを念頭に置いて実際に図書館からその本を探すゲームを行った。次に索引に出ていることばが目次のどの項目のところに出ているのか、学習カードを使いながら目次と索引に相互の関係を捉えさせるワークショップを行った。ゲームを取り入れた指導は子どもの取り組みが良いという話あり。

(4)中学校 パスファインダーをつくろう!
調べ学習の際、多くの資料を当たらず、百科事典の一項目の中に書かれていることを引用したりまとめたりして良しとする生徒がいる。そこで今回は生徒が「パスファインダー」を作り使うことで主体的で幅広い情報収集の力を付けさせることができるという提案。非常に成果のあった事例発表の後、パスファインダー製作の手がかりをもとに、百科事典を使って実際にパスファインダー作りのワークショップを行った。初めてパスファインダーに接した参加者多く、興味を持って取り組んでいた。

(5)各学校の図書館教育の情報交換
なかなか実践できなかったが、今回の演習や実践を資料に自分でも始めたいという声多数あり。

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第6分科会


分科会テーマ これからの学校図書館教育
(2)  ~司書教諭と学校司書の協働~ 元気な学校図書館をめざして
分科会協議題 司書教諭と学校司書が協働で、元気な図書館運営をするための方策

発表者 
①碓井 美恵(芳川小学校)兼(長野県図書館協会小中学校図書部会 学校司書委員会委員)
②田村 満利子(湖南小学校) 宮坂 美穂(城南小学校)
③白鳥 志津子(辰野中学校) 上島 陽子(辰野中学校)
司会者 碓井 美恵(芳川小学校)
記録者 山本 初恵(高社中学校)

1 発表要旨

  1. 題名「長野県学校司書の雇用実態と司書教諭と学校司書の協働についてのアンケート調査報告」

  発表者 碓井 美恵
要旨 アンケート結果より、司書教諭発令から6年になるが、兼務のため図書館教育に携わる時間が確保できずにいる。また、学校司書の雇用形態は各自治体に委ねられているため様々である。専門性を活かした図書館運営ができるよう図書館教育の大切さを啓発し司書教諭・学校司書の立場の改善をアピールすることが必要である。   

② 題名「司書教諭と学校司書の協働 ~学校図書館の現在とこれから~」
発表者 田村 満利子 ・ 宮坂 美穂
要旨 学校司書の雇用状況は悪化し8時間から6時間に減らされてしまったが、司書教諭・学校司書が連携し年度当初に全職員へ図書館教育の大切さを訴え理解を得て、司書教諭と学校司書の協働ができている。子供たちが本に興味をもち親しみやすい図書館環境を整えるために創意工夫をし、教科学習に必要な資料を他の図書館より借用したり(小中学校と市立図書館間の物流システムが整っている)、諏訪地域の司書教諭が選書した『諏訪の子どもにすすめる本130』のリストを子供たちが読む意欲を誘うような工夫・児童検索用パソコンの導入・ボランティアによる読み聞かせ等を行なうことにより子供たちが本を読む力・本で調べる意欲づくりに結びつくことを願っている。

③ 題名「司書と司書教諭の協働」
発表者 白鳥 志津子 ・ 上島 陽子 
要旨 司書教諭と学校司書が協働で図書館教育の大切さを全職員に理解してもらい、特別活動や教科学習による授業を図書館内で行なうよう学級担任や教科担任と年間計画を立て、それに沿った資料を揃えたり、ブックトーク等を行い楽しく授業ができる環境作りをしている。
実践発表 『和』をテーマにブックトーク

  1. 協議

小学校2グループ(12学級以上と以下に分け)・中学校は1グループで、
①学校司書という立場から司書教諭に聞きたいこと。
②司書教諭(図書館係)から学校司書に要望したいこと。
について協議をする。

参加者43名(内教諭7名 新潟県より2名 親子文庫1名) グループ毎に活発な論議がされた。学校規模・司書教諭・学校司書に関係なく図書館教育に関する思いは同じで、遠慮のない意見が多数出された。また本テーマに沿っての参加者は中学校が多く、いかに中学での連携・協働が難しいかうかがうことができた。

司書教諭は兼務が多く、特に中学校では部活動もあり図書館教育に関わる時間が少ない。そんな中で、学校司書が配置されたことにより図書館に『人』がいることはありがたい。学校司書は時間数も限られ司書教諭とコミュニケーションをとることが困難である。が、子ども達が豊かな心と確かな学びを育むために司書教諭・学校司書・担任関係なくそこにいる大人がどのような図書館環境を子供たちに与えられるのか互いに歩みよらなければならない。
そのために、『協働』できるよう連携をとり、コミュニケーションをとることが大切である。

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第7分科会

これからの学校図書館教育(3)
学校司書にできること~個に応じた選書 高学年・中学生の読書

発表者 長野県図書館協会 小中学校部会 学校司書委員会 由井尚美(篠ノ井西小学校) 伊東由美子(清明小学校)大山佐百合(豊科北中学校)坂上由美(若穂中学校)
助言者 なし
司会者 由井 尚美 (篠ノ井西小学校)
記録者 荻原 秀子 (三水第一小学校)

1 発表要旨
年齢とともに興味関心が多用になり、手に取る本のジャンルも多岐にわたる子ども達に手渡したい本について、日頃の実践を含めて、本の情報交換をしながら考え合いたい。
発表者 (学校司書委員会 由井 尚美 ・伊東 由美子・大山 佐百合・坂上 由美)

  1. 子ども達の読書アンケートから結果報告(プロジェクターで紹介)

本を読むことが苦手な理由はなんですか?

    1. 字を読むのが面倒・集中することが苦手・話の内容がわからなくなる・興味がない・おもしろい本がみつけられない

(2)子どもたちに手渡したい本の選書リストをつくり、選書リストの説明
読書がすきですか?の問いに「いいえ」と応えた個にすすめる選書した本を、小中高学年用・中学生用にわけてブックトークで紹介
2 協議内容

  1. 小学校・中学校とグループごとに7つに分かれ、自己紹介、持参した「おすすめの一冊」を選んだ理由やおすすめポイント、本の紹介の仕方や手渡す方法、読みたくなるような紹介方法、選書で心がけていること、紹介した本をもとにさらに読書がひろがるような本の情報交換をする。{積極的にかつ活発に協議がなされる}
  2. 全体での情報交換
    1. 各グループからの「おすすめの本」紹介{等身大のファンタジー・部活からヒントを得る・携帯小説・ヤングアダルト・ライトノベル・図鑑・空想科学}
    2. 話し合われた内容についての発表{マンガ本を貸出か?禁帯?・読書の時と授業の時間をどのようにしているか?・字数の多い厚い本はどのように紹介するか?・予算はどのくらい?・選書に迷える子を読める子にするには?}

3まとめ
司書が「何かおもしろい本がない?」と聞かれたら「これどう?」とすかさず本の紹介ができるように、書誌情報をたくさんもちたい。子どもたちがどんな本を求めているのか理解するために、アンテナを高くして柔軟に対応できるようにしたい。また、私たちの自身のことばで子ども達に紹介できるようにしたい。読書量にかかわらず、どの子にとっても身近で、ほっと一息つけるような図書館づくりに、日々努めたい。

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第8分科会

分科会テーマ:子どもと本を結ぶ活動(1)
~読書のたのしさを体験し、豊かな感性を育む読書指導のあり方~

発表者:阿部 悦夫先生(柏原小学校)
小山 千恵先生・南香織先生(糸魚川東小学校)
宮下 由美先生(三陽中学校)
助言者:倉品 章先生(三条市裏館小学校校長)
司会者:臼田 和子先生(野沢中学校)
記録者:西村 敦子(宮田小学校)古川 美恵子(五加小学校)

1発表要旨
子どもと本を結ぶ活動(1)~読書のたのしさを体験し、豊かな感性を育む読書指導のあり方~
発表者:阿部悦夫先生(柏原小学校)小山千恵先生(糸魚川東小学校)宮下由美先生(三陽中学校)

(1)図書館の環境整備:畳スペース・こたつの設置などでくつろげる図書館づくり。生徒の目的にあったレイアウト。システムの簡略化。

(2)地域の方との連携:地域の民話伝承(信濃町『かたかご童話会』)・ボンティアによる新刊本の受け入れ等や読み聞かせ

(3)行事・教科学習との連携:読書傾向やケータイ小説を好む理由など生徒の実態を知り、国語科と連携してケータイ小説にみられる恋愛や急展開、恐怖・緊張などの内容が含まれる短編小説の読み聞かせ。読み聞かせをきいた生徒はいいものをいいと感じている。また、国語の授業で絵本を読み一番気に入った本を紹介する。

(4)図書委員会と一緒につくる図書館:館内装飾・特設コーナー・新聞づくり

(5)読書指導:朝読書・読書旬間(親子読書、読書郵便、児童による読み聞かせ、生徒による放送図書館、イベント企画)・テーマごとに本を集め特設コーナーを設置

2協議内容
(1)親子読書を実施しても、親子一緒に読書することが難しい場合もある。その場合、寄せられた感想や読んだ本を図書館だよりや学級通信で紹介し、活動を共有していくことが大切である。また、「1冊の本を親子で分けて読む・親子で違う本を読んで感想を言い合う・感想だけをいう」など方法を提案していくことも必要になる。

(2)児童によるよみきかせなど児童が本を選ぶ時には教師の指導が必要である。例えば、相手を意識した日頃の活動の積み重ねや、絵や色・どのくらいの時間で読めるのか、など具体的な指導が必要になる。また、児童が本を自由に選ぶのではなく、テーマを決めて本を選ぶようにしたり、そのテーマと本を他の児童に知らせる場を確保したりすることも大切である。

(3)ケータイ小説など子どもには人気であるが、その本の内容を児童生徒としっかり話をしたり教師自身が読んだりして、図書館に入れる本入れない本をはっきりさせていかなくてはならない。

3指導者助言
○量から質へ:量から質の時代。子ども達に「いい本」を読ませたい。「いい本」とはどんな本なのか。ためになる本や感動する本ということでもない。「いい本」とはどういう本なのか話し合ってみるとよい。選書が大きなポイントであるが、難しい。本が紹介されている書籍などを参考にしていくのもいいだろう。それらの本を自分達で読んでみて感じたことを大切にしていきたい。また、長く読み継がれてきた本(古きよきもの)と新作の本(今のよきもの)とのバランスも大切。○教育が必要:始めから子どもがひとりで読書好きになるということはあまりない。本を読んでみたら楽しかった、親・友達・教師の影響でなど、何かきっかけがある。その中でも教師の影響は重要。子どもに対して先を見通した教育が存在すべきであり、それは組織的・計画的になされるべきである。○考える読書:感想文を書かせるのはかわいそうとか自由な読書を、ということが言われたが、読みっぱなしはもったいないのではないか。本を読んだ後の余韻を大事に考え、残しておいてもいいのではないか。その残し方は多様にある。書いて残しておくことも大事である。読書ノートと聞くと「いやだ。」という印象を持つが、楽しくかける工夫があればできると思う。☆今できることを地道にやっていくこと、まず一歩やってみること、その一つ一つの積み重ねが大切。地道な実践が子どもに伝わる。また、ひとりではなく、ネットワークをつくり情報を共有するなどネットワークを活用していきたい。

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第9分科会 

分科会テーマ:子どもと本を結ぶ活動(2)
分科会協議題:個の願いに即した情報活用を促し、主体的な読書活動を支える図書館経営・運営

発表者   :橋本絹代(蕪城小学校)中野淳子(東明小学校)谷口美奈子(福島小学校)牧野優子(飯田西中学校)
助言者   :堀内京子(元小学校教諭)
司会者   :一ノ瀬文枝(湖南小学校)
記録者   :大久保瑞恵(平野小学校)西山小百合(穂高北小学校)

発表要旨
「なかなか実施されない『年間計画』を一歩進めるために」(橋本絹代・中野淳子)
(1)研究の概要 白山市内20小学校の実態調査を行った。情報センターとして、オリエンテーションや図鑑年鑑の指導はほとんどの学校が計画通りであるが、国語科での読書単元の利用は100%ではなく、調べ学習は時間の都合等で十分に行われていない。

(2)年間計画実施段階における工夫 計画段階(P)学年ごとにつけたい力を決めて作成し、共通理解の為に職員会議で提案する。実践段階(D)教科書掲載の本を準備。短時間で調べ学習ができるよう、ワークシートを用意。 評価段階(C)児童はどう変容したか? 自分に合った本を読めているか様子を見たり、貸出冊数統計類を担に知らせて指導に活かす。通知表や学校評価で、児童と職員、保護者への共通理解を図る。 改善段階(A)実施状況一覧を作成し、評価(C)した結果を元に改善する。 

(3)結論 PDCAサイクルの視点を持ち、その中でも評価(C)の段階を大切にして児童の力を育てることを元にした図書館経営することが重要である。

「個の願いに即した情報活用を促し、主体的な読書活動を支える図書館経営・運営」(谷口美奈子)
(1)活動内容 ①図書館状況調査から(木曽教育会図書館教育委員会) 郡内司書の配置が昨年度に100%になった。予約・リクエストや他館との相互貸借が増え、司書の存在は重要なポイントである。②子どもの願いに応えられる図書館を より子どもの願いに沿うことのできる図書館を目指した体制が充実してきているのを調査結果から伺える。司書が配置されたことが大きな変化である。

(2)福島小学校での図書館運営 学校の中央にあり、館内も広くてたくさんの装飾がされているが、司書がいない期間は利用者が激減してしまった。司書があってこその図書館である。 教員の相談役として授業で利用する本について助言したり、子どもが中に入りたくなるような工夫されたコーナーなどの環境づくりや定期的に司書部会を開き情報交換をしている。

 「生徒たちにとって魅力のある図書館経営・運営」(牧野優子)
(1)図書館をかえる・図書館をつくる 教科を持ちながら司書の仕事をされているが、その中でも全校の貸し出し冊数が前年度と比較して1.8倍に増え、図書館利用率が格段と伸びた。この理由は何か。 環境整備には特に力を入れており、国旗や漢字のクイズなど、また行きたいと思えるような居心地のいい空間にしている。生徒が興味のあることなど、読書傾向を掴んでおく。あまり読書が好きではない生徒たちの声も大事にしながら本を揃え、生徒と図書館の間にある壁を取り払う。どの本が教育活動に使えるか、購入した本の一覧や年間の反省などを職員会議で提出して教育活動を支えて行く。
指導者助言 図書館には「人がいる」ということが図書館環境で一番大事である。利用指導計画は、4月当初に見るだけで後は全く見ないことが多い。だが、年間計画を生かすための司書と司書教諭の連携がとても大事であるし、学校のグランドデザインに組み込んでもらうなど、年間計画外にどんどん広げていくことが必要になってくるだろう。それを続けて行くには、担任や校長・教頭先生を巻き込んでいかなければならない。

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第10分科会  

子供と本を結ぶ活動(3)のまとめ 
~図書館の機能と情報を活用して学ぶ力を育てる利用指導~

発表者  千村 真美 (長野県 松本市立寿小学校)水上 悦子 (富山県 砺波市立庄西中学校)金内  薫 (長野県 飯山市立飯山第一中学校)
助言者  新夕 佳子 (富山県 魚津市立村木小学校教頭)
司会者  後藤 昭彦 (長野県 上田市立丸子北中学校校長)
記録者  伊藤 ふき代(長野県 須坂市立井上小学校)山名 美子 (長野県 塩尻市立塩尻西小学校)

1 発表要旨
○「図書館の機能と情報を活用して学ぶ力を育てる利用指導~魅力ある図書館にするために~」(千村)
・読書の楽しさを知るための、また、「読書」への個人差が生ずる中学年以降に対応できる場所として。
⑴ 利用意欲と本への興味をもたせるために…テーマでの配架・展示(低学年向け、教科書関連など)
⑵ 「集中して読む」活動定着のために…朝読書、授業で読む本の工夫、読みの力ごとのブックリスト
⑶ 課題:文字を読んで頭の中に絵を描ける力および読書への自信をつけるための工夫

○「生徒の豊かな心を育むための図書館運営~本に触れるきっかけづくり~」(水上) 
・学校の情報発信の場として、楽しくわくわくする部屋として。
⑴ 読書活動の工夫…朝読書、全校で読む1冊の本(集団読書)
⑵ さまざまな連携…市立図書館(貸出支援とボランティアによるブックトーク)、生徒会活動など
⑶ 課題:読書の量とともに質を高める工夫、情報センターとしての蔵書の充実、パソコンの導入

○「図書館の機能と情報を活用して学ぶ力を育てる利用指導」(金内)
・学習センターとしての資料提供のあり方と、読書センターとしての資料整備・広報活動について。
⑴ 学習形態にあわせた情報提供(①テーマ設定段階から②情報整理段階から③総合学習)
⑵ 図書館からの発信(図書委員会主催の全校読書集会、図書委員および図書館からの広報など)
⑶ 課題:図書館で収集すべき資料の明確化および年間計画資料の整備

2 協議内容 
⑴ 朝読書の共通ルール…「読書の音楽が鳴ったら用意」、「学年で職員が1名残り様子を見る」など。
6年生担任の「読書の目当てを持たせて取り組みたい」意向を受け、課題図書の3年分、シリーズもの、必読書の3種のブックリストを作成。これを手がかりに喜んで取り組んでいる姿が見られる。
⑵ 中学での選書の工夫として、本の帯や、書店が届ける本の紹介を参考にしている。ベストセラーも選んで購入。中学進学に際し読んで欲しい本を複数(市内の司書たち)の目で選定。子どもの口コミ、読み聞かせも大事なブックリスト。読み聞かせにより、絵本は高学年にも大切とわかってもらえる。朝読書での制限(漫画、ハウツーもの、図鑑は不可)。2冊貸し出し時は、うち1冊を読み込めるものに。授業時の貸し出しを担任にしてもらうと、その子にあう本を薦めてもらえる。
⑶ 小学校段階で「レポートまで書かせるように(赤木かん子)」という説もあるが、「食べ物→5」とか、百科事典や図鑑が使えるようになっているとよい。担任と司書との連携として、「年間計画に頼らず、司書側から1ヶ月前に現況の学習内容を担任に確認し、資料を用意」「担任が記入しやすいカード…読み聞かせ・貸し出し・調べ学習・ブックトークなどの項目の中で希望の活動に○をつける…を用意」して、「図書館利用の時間の有無やその内容を司書が把握」などを行っている。

3 指導者助言
低学年は図書館によく行かせる(体験を通しての理解が大切)。年齢が上がっても通う姿につながる。中学生の読書量の増加は、朝読書が大きいだろう。全校で足並みをそろえ、担任も一緒に読みたい。
国語以外の教科でも図書館利用を。司書と学校とが積極的に関わり合いたい。教員は図書館に目が向きにくいので、年間指導計画を先取りしてほしい。教員向けのブックリストもよい。本以外の情報についても知らせたい。子どもの作品の図書館保存や、人的情報やパンフレットなどの資料のストックを。 
資料を調べる力を付けるには、中学校だけでは限界。小中学校で連携したい。発達段階に合わせ、資料をある程度わかりやすくして提供するのも大切。
新指導要領の言語活動や読書活動の下支えをしていくのは学校図書館。情報提供をするだけでなく、学びを成立させる図書館にしていきたい。『情報を学習につなぐ』(SLA)を読みたい

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第11分科会 

高校図書館部会
分科会テーマ 「生徒が知的好奇心を高め、自ら学力を培い伸ばす図書館教育のあり方」
協議題 
1「学校統廃合と図書館」
2「望月高校の読書活動」

発表者  
1 竹腰史佳(木曽青峰高等学校) 宮澤佐栄子(東御清翔高等学校)(前木曽山林高等学校)
2 永井 栄(望月高等学校)
助言者  今井和愛(石川県立内灘高等学校長)
司会者  赤羽潤子(松本県ヶ丘高等学校)
記録者  斉藤時子(松本県ヶ丘高等学校)

1 発表要旨
Ⅰ「学校統廃合と図書館」  長野県木曽青峰高等学校  竹腰史佳  
長野県東御清翔高等学校(前木曽山林高等学校)宮澤佐栄子

  1. 県立高校の再編計画により、2006年4月、木曽高校と木曽山林高校が統合されることが発表された。両校で話し合いを重ね、統合後の学校を新たに木曽青峰高校と決定。三校分のカリキュラムを同時展開しながらの準備期間だった。
  2. 2007年統合実施計画を策定、2008年6月の合同職員会で資料配布と説明を実施した。これ以降、司書間の打ち合わせの他に校内外への連絡が必要となった。
  3. 2009年1月貸出停止。その後教師とともに図書の選別。箱詰め、データ移行、引越し。
  4. 統合される学校の生徒が不便にならないよう、年度のぎりぎりまで資料提供を行った。また、最終年度まで図書費の配当があったことは良かった。

Ⅱ「望月高校の読書活動」  長野県望月高等学校  永井 栄

  1. 全校生徒198名という小規模な地域高校での、数年間の図書館活動の記録である。
  2. 2003年度の生徒一人当たり貸出数3冊に対し、2007年度23冊、2008年度24冊と、順調というよりも驚異的なほどの伸びである。
  3. 高校生の気持ちを大切にしながら、大変キメの細かい活動を丁寧に行っている。図書委員の生徒たちや校内の職員、さらに地域の協力をも得ながら、環境整備やさまざまなイベントを一緒に実施している。

2 協議内容  (質問・意見は出ませんでした。)
3 指導者助言
学校再編の中で図書館も統合していかざるを得ないが、「Ⅰ」はその貴重な体験報告だ。   チェンジにいかにチャレンジし、チャンスにしていくか。そのためには、一番大切なことは何かを考え、理念・信念をきちっと作り周知させていく必要がある。
「Ⅱ」では、様々な工夫や催しなどのエネルギッシュな試みに驚嘆した。生徒一人一人を大事にしてきちんとレスポンスし、図書館から発信している。点の行事をどう面に広げていくか、きっかけから持続にどう繋げていくかが大切だ。
情報発信の場であり、また相談室的な役割を求められている図書館が、生徒・職員・地域の人たちにいかに協力をお願いし、コラボレイトしていくかが肝要である。  

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第12分科会

分科会テーマ 日本医学図書館協会の活動と専門図書館 ~図書館員の専門性とはなにか~

発表者    吉江吉夫(松本歯科大学
司会者    佐藤有妃(佐久大学・信州短期大学)
記録者    城倉眞一(長野工業高等専門学校)

1.発表要旨
日本医学図書館協会では、NPO法人化と同時に医学図書館員の専門性を高めるため、資格認定制度を導入した。研修や論文投稿などをポイント化し、初級、中級、上級を認定する。この制度により、ただ研修会に出席するだけではなく、図書館員の意欲の向上を図ることができるようになった。この資格を一部の大学においては、昇進条件として利用している。
日本の司書は他力本願なところがあり、もっと自助努力が必要である。認定資格を作ったのもそのためである。
IT化時代において、立ち止まれば、すぐにおいていかれてしまう。自分の専門外のことで何かひとつ勉強することが必要であり、何でもできることが図書館員の専門性といえる。

2.協議内容
司書資格を活かしたいのならその専門性を高めることが必要である。
専門性を高めたくとも研修会・勉強会の機会が少ないとの意見があり、それに対して各大学・短大で行われている研修会・勉強会の実態について報告があった。信州大学からは、県内の各大学・短大が参加できる研修会を開催したいとの発言があった。

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第13分科会

分科会テーマ・本との出会い、人との出会い~おはなしフェスティバルの開催を通じて~
分科会協議題・自己紹介及び質疑応答


発表者・横山 佳栄(上小・東御親子読書推進の会)
助言者・小島 佐和子(みすずかる母文の会)
司会者・高橋 あや子(長野県PTA親子読書推進の会顧問)
記録者・横山 富美子(上小・東御親子読書推進の会)

  1. 発表要旨

「本との出会い、人との出会い~おはなしフェスティバルの開催を通じて~」           横山 佳栄

  1. 参加した各学校が自分達の活動を発表する機会を得ることが出来た。日頃は行う立場にいる参加者が聴く立場になって、発表を楽しみ、新しい本との出会いがあった。
  2. 他校との情報交換が出来て、交流の場が持てた。人との出会いにより、悩みを抱えて活動しているのは自分達だけではない事を知り、共感しあうことが出来た。又、各校オリジナルの資料(大型絵本・パネルシアターなど)を相互貸借することで、更に自分たちの活動を発展させようという意欲も生まれた。
  3. アンケートの結果では、今後の開催に期待する声も多く聴かれた。フェスティバルの運営は多くの方達の協力なしには行えず、図書館との連携・協働に支えられてこそ、より多くの参加者が集うことが出来る。

2. 協議内容

  1. 佐久にて11/17におはなしフェスティバルを開催するが、どのように参加者を集めればいい?:子供達にアピール・本屋さんでチラシを配る等。
  2. 「お母さんの声は金の鈴」について:読み聞かせは、同じ時間を楽しんで心の栄養を貯めていける。親子ではどんな本でもいいかもしれないが、不特定多数の人に行う場合は、選本も重要である。
  3. 選本に迷う:学校のクラスでの場合、制約もある。読み手に対する信頼関係がないこともある。まず、年齢に合う本みつける。例えば、教科書に出てきた本(これから出てくるのではなく)季節の本、昔話等を取り上げるのも良い。グループで行うなら、仲間、又、学校図書館や先生と相談する。選本も楽しむ。
  4. 役員で決まった当番:読み聞かせを行う中で、子供達の反応が見える。失敗しながら、自分も成長していく。
  5. 低学年には入りやすいが、高学年には入りにくい:低学年は保育園等で、お話を聴く習慣ある。高学年には、本の紹介でもいい、科学系の本、絵本じゃなくても良い、毎週なら、連続するのもよい。大変って思わない。(「オレダレ」の紹介)一人ではない、仲間・司書・先生と相談しよう。
  6. 読み聞かせの会つくった:「無理せず、長くやろう」をモットーに。昔、演劇をやっていたおばあちゃん、イギリス人のお父さんと日本人のお母さん(英語と日本語で)のペア。「疲れた」の声に休みを設けるローテーションを組んだ。担任の先生に教室に入ってもらう等。
  7. おもしろい・感動する等、自分が楽しむことが大切。読み手によって変わる、上手くなくても好き・想いがあれば大丈夫。「私の持ち味でOK」でよかった。自由な発想が大切。

3. 助言

  

本の良さを伝えていく事が大切だということを大人が自覚しないといけない。早く出会わせてあげたい。本との出会い、人との出会い。多くのこども達に、色々な本を提供したい。みんながそれぞれに想った事を続けていってほしい。長野県PTA親子読書推進の会は、PTAじゃなくてもOK。みんなで勉強したり、集ったり。こどもと読む時間を共有する事もいいし、自分のために本を読むのもいい。自分を高めよう。

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第14分科会


分科会テーマ「楽しいおはなし会にするには」


発表者・「ちくまおはなしネットワーク」 「穂高母親文庫」
助言者 小林いせ子(県親子読書推進の会 会長)
司会者 笹井多代子(長野市PTA親子文庫委員会 委員長)
記録者 神林杏子


1・発表要旨
楽しい動物たち「ちくまおはなしネットワーク」対象・保育園年長児
手遊び《始まるよったら始まるよ》 演者 坂井節子
読み《コッケモーモー!》     演者 坂井節子
朗読劇《ブレーメンの音楽隊》   演者 坂井他6人
大型絵本《欲張りすぎた猫》    演者 清水美江 竹田美恵子
読み聞かせ絵本《もりもり熊さん》 演者 松坂千鶴
おはなしおはなしこんなのあるよ「穂高母親文庫」 
「おおかみだって」演者 小川邦子・小福久美子・望月知子・黒岩正子・青柳節子・宮田千春
「おおきなおおきな黄色いひまわり」 演者 小川邦子


2・協議内容
「ちくまおはなしネットワーク」について
Q選本は?A全員で
Qテーマは?A決める
Q手遊びは?A小学生以上はしない


{全体より発言}
話を始める前に手遊びをする。男性の参加もあるとよい  
読書につなげたいので、手遊びはしない(手遊びが主になると困る)
手遊びは、子供にとって一緒に参加していると言う楽しさもある    
「穂高母親文庫」について
Q集まる回数は?→A3日(打ち合わせ・途中・本番)
{全体より発言}
声を出すことは大切。なんとか続けてほしい
「おおかみだって」を改めて見て最初の頃を思い出した
読み手の年齢層が厚いと、子供達が安心して聞いている


3・指導者助言
「手遊びについて」
子供の気持ちをお話会へ。子供の気持ちを大事に、プライドと立場を考える。
小中学校では信頼関係ができてから。
高齢者に対しては呼びかけを。「こんな遊びをしましたね」とか
「男性の参加について」

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