第11分科会  「テーマ(1)須坂市内4高校の生徒の読書実態と図書館利用について」
         「テーマ(2)地域と学校を結ぶ図書委員会活動」

 「テーマ(1)須坂市内4高校の生徒の読書実態と図書館利用について」

司会者 : 田中和彦(長野県屋代高等学校 学校司書)
発表者 : 宮崎正規(長野県須坂東高等学校 教諭)

1.発表の概要
平成15年度の北信SLAでの図書館利用調査を受け、同一内容のアンケートで須坂市内4校では追跡調査を行った。読書習慣については、1割が毎日、5割が時々、4割がほとんどないという傾向で、図書館利用の頻度については増加している。興味を持って読むジャンルは小説が4割、趣味が2割でほぼ安定している。いくらまでなら自分のお金で本を買うかには、1500円以下が7割近くを占めている。図書館利用のきっかけは、友人に付き合って来館が多く、オリエンテーション、授業も利用促進の効果を果たしている。図書館に行かないのはなぜかには、時間がない、本を読まない、図書館が遠いとの回答である。調査結果から、友人を介しての利用促進、利用マナーの教育など、具体的な取り組みにつなげたい。

2.討議の概要
アンケートの分母については、各学校1学年3クラス(100人〜120人)×4校=450人位ということであった。分科会参加者の中学校司書と高校教諭・司書から、各校の朝読書の状況を一校ずつ発表し、中学と高校双方の図書館の様子を知ることができた。設問3の“興味を持って読むジャンル”について、ファンタジー・ホラーを小説と区別する理由は、名作などの小説と区別しているためであること、また、ホラーの具体的な作家名が挙がった。ライトノベル・ケータイ小説などの流行についても、リクエストが多く、対応に苦慮しているとの意見が出た。地域内で相互貸借して間に合わせる、厳選して購入するなどの他、それらには本を読まない生徒のアイキャッチの役目もあるなどの意見が出た。

3.まとめ
調査結果から浮かび上がった課題から、具体的な施策をさらに検討、工夫していきたい。また、生徒の読みたい本と、こちらが読ませたい本とにギャップがあり、さまざまな意見、対応策が出て参考になった。

◇ ◇◇◇◇

 「テーマ(2)地域と学校を結ぶ図書委員会活動」

司会者 : 田中和彦(長野県屋代高等学校 学校司書)
発表者 : 内山由香里(長野県辰野高等学校 教諭)

1.発表の概要
辰野高校は「地域に根ざした学校」、「開かれた学校づくり」を積極的に進めている。図書委員会でも地域とつながる活動を展開している。主なものは文化祭での発表と、保育園や高齢者施設での絵本や紙芝居の読み聞かせ活動である。2008年度は商業科3年ビジネス情報と協力し、辰野町に辰野高校がある意味を学校内外にアンケートを取り、『辰高効果をシミュレート(もしも辰野町に辰高がなかったら)』という冊子にまとめた。図書委員会では、6月から生徒3人一組で15の校区をまわり、住民への聞き取り調査を行い、生徒の朝夕の動線調査、辰高生のお金の使い方アンケートを集計し、辰野高校の辰野町への経済効果や存在意義を考察した。

2.討議の概要
「図書委員会活動を活発にするのは難しい。生徒を動かす秘訣はなにか?」「生徒ってすごいと思ったことは?」との質問が出た。「正・副委員長の人選が重要で、テーマを与えて、“きっと生徒はできる。見くびってはダメだ。”と信じ、細かに指示を出すことが大切です。調査がうまくいかない時でも、生徒は知恵を絞って工夫をし、忍耐強くなりました。最初は自信がないけれども、やってみて、慣れることでできるようになる。読み聞かせについても、地道にやる子が集まって練習し始め、互いに認め合い、励まし合い、力をつけていった。」とのことでした。また、教養講座についての質問が出て、実施している高校から、具体的な内容と講師について、参加人数、参加者の集め方などを話してもらった。

3.まとめ
「生徒を見くびってはいけない。」という言葉に胸を突かれた。生徒たちは、地域の人々に見守られ、活動することで自信を得る。図書館としても、もっと手を入れて委員会活動をよりよいものにしていきたい。


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第12分科会 「高専の図書館として 〜利用促進につながるサービスとは?〜 」  
    

                   司会者 柳沢磨三代 長野県短期大学図書館
発表者 渡辺彰宏 長野工業高等専門学校図書館
記録 武居総子(信州大学附属図書館繊維学部図書館)

1. 発表の概要
長野工業高等専門学校(以下、長野高専)の概要と図書館の位置付けについて、また図書館における利用促進を目指した活動と今後の課題について発表があった。
長野高専図書館では、これまで順調に増えていた来館者数と貸出冊数が、平成19年度に減少した。そのため平成20年度は学内外で“お客を呼び込む活動”を行った。学内の教職員・学生に対してはオリエンテーション、電子ジャーナル講習会、地域住民に対しては、図書館案内を自治会の回覧文書に入れてもらい広報をした。学生から「図書館ニュース」へ掲載する記事を募集したり、図書館に投書箱を置くなど新しい試みも始めている。これらの活動の効果は現時点では明確には分からないが、できる活動を試行している段階である。
今後の課題として、学内向けには授業との連携、研究室との連携、図書館にとりあえず来館してもらう仕掛け(企画展示・マンガ購入・希望図書制度の周知など)、また図書館主催の企画が挙げられた。学外向けには、図書館案内の回覧により来館した方もあり効果がみられたため、次は「一度行ってみよう」からリピーターを増やすような工夫(小説を増やすなど)をしたい。学内外に向けてあらゆる機会を利用して広報をすることにより、利用者の増加を目指したい。

2. 討議の概要
 長野高専図書館の地域住民への働きかけについて、多くの関心が寄せられた。各図書館では、どのような方針で学外開放を行っているか、学外者向けに追加したサービスはあるか、学外者の利用が増えすぎて問題になることはないのか等について意見交換があった。
 長野高専図書館では、今後、学外者向けにも蔵書構成を工夫していきたい、また学外利用者が増えすぎて悩むのは逆に良いのでは?という回答があった。他の図書館では、学外利用者に対しては閲覧のみという館も多い。信州大学では、学外利用者に貸出を行っているが、利用はそれほど多くないため特に問題は起きていない。また、公共図書館との協定など新しい地域連携を検討している。周辺の大学からも要望があれば是非出して欲しいという依頼があった。

3. まとめ
 各図書館の状況報告や学外開放について意見交換が活発に行われた。参加者からは、発表内容が日常業務の参考になった、他館と意見交換ができて良かった、という声が寄せられた。

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第13分科会 「ブックトークをやってみよう!〜ボランティアによる学校でのブックトーク〜」


《助言者》小林いせ子先生 
《司会者》野路千恵美(長野市PTA親子文庫)
《発表者》@藤沢玲子 A村松君江 B小林正代(同上)
《記録者》神林杏子(同上)
出席者数 36名

《発表概要》ブックトーク                            

  1. 藤沢「恐竜の世界へようこそ」小学校中学年対象
  2. 村松「君もヒーローになれる!?英雄(ヒーロー)ってどんな人?
    〜自分への挑戦〜」小学校高学年対象
  3. 小林「プール、プール!プールの季節にプールの本を!」中学生対象

《討議概要》
 質問=全体的に速いテンポでついていくのが大変だった。ブックトークの速度は?
 回答(小林いせ子先生)=45分で5冊〜7冊位がよいのではないか。
 感想=第3発表者は、言葉にメリハリがあって聞きやすかった。

【小林いせ子先生の高評】

  1. 聞いている子供達とブックトーカーとのコミュニケーションが一番大事。フィクションとノンフィクションがごっちゃにならないように、なにか一言言葉を添えるとよかった。
  2. ノーベル賞を、子どもたちの日常とかけ離れた世界のことでなく身近に感じさせるためにはどうしたらよいか。『マジカル・ミステリー・シャドー』を入れたことによって子どもの身近に引き寄せることが出来た。なぜ『ぼくにもそのあいをください』を紹介するのか説明が欲しかった。
  3. ブックリストに表紙を並べるのも一つのやり方。「プールで泳ぐ」と「プールへ飛び込む」の間で、「同じ水泳競技でも」の一言があったらもっと良かった。森絵都さんの他の作品紹介があるとよかった。

《ワークショップ》
あらかじめ参加者を6グループに分けておき、ワークシートを準備しておいた。

1 グループごとに6〜7冊の絵本を用意しておく。

2 この6〜7冊の本から3冊を選び、学校でブックトークをするという設定で以下の4点を話し合う。

  1. 対象年齢
  2. テーマ(タイトル)
  3. 紹介する本の順番
  4. どんな言葉を使ってつなぐか

3 各グループ1名の方に発表していただく。
【小林いせ子先生の高評】
レパートリーを広くしてほしい。本の表紙を活用しよう。いろいろな本を読んで、自分の中に貯金をつくっておこう。次の本へいくときは、無理な流れにしない。何冊かの中には必ずストーリーのあるものを入れよう。


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第14分科会「実践発表を通して読み聞かせを学ぶ」

助言者  小島 佐和子 (長野県PTA親子読書推進の会顧問)
司会者  横山 佳栄  (上小・東御親子読書の会)
発表者  倉島和美・山浦厚子・宮嶋千春・伊東典保(東御市田中小学校親子文庫)

1. 発表の概要               
子どもたちに自分で本を読んでほしい。高学年が低学年に読んであげるようになってほしい。という二つの目標を持って、朝読書の時間には本だけを読んでいる。
今日の発表のペープサートや落語は、特別枠で年に一度のお楽しみ会の時に楽しんでいる。 

語り  「すずめとからす」「魔法のビール」「どっこいしょ」                
               ・・・おはなしろうそくより

ペープサート  「ふたりのあさごはん」・・・おはなしろうそくより
     一・三・四年生。それぞれの反応の違い

落語  「桃太郎」・・・桂三枝創作落語より

手遊び 「とんとんからだ」「てってって」「大根」  
 
2. 討議の概要
助言者より

・語りは各年齢向けにいろいろな話があって良い。
・ペープサートは作るのが大変だったと思うが努力が報われ子どもに伝わりやすい物になっていた。
・落語は要素が多すぎてお話が見えない危険性もある。しかしそれまでの活動の継続が有ってこそ成り立っているのだと思う。
・手遊び・わらべ歌は日本の文化の一つで是非子どもたちに伝えていってほしい

会場より 

・落語がおもしろかった。子どもたちに憧れられるお母さん方だと思う。
・桂三枝の創作落語ということだが、改変している部分が有ると著作権の問題があるのでは?
→多少の改変があるが学校内ということで了承してもらっている。著作権にも気をつけていきたい
・自分も読み聞かせをしているが、明日は自分でという要求をもってもらうにはどうしたらよいか考えている。その場の満足だけになっていないか?
→最終目標は子どもたちが自ら本を手に取って欲しいとみんな思っている。ボランティアの活動には時間的に限界が有るが、それでも段階を踏んで継続することが大切だと考える。

3. まとめ(助言者より)
ボランティアとして学校に入り続けることは大変。心豊かな子どもたちにという願いを持って長く続けて欲しい。学校が何を求めているか、自分たちが何をしたいかを調整し、ボランティアだからこそ責任、ルールをもって活動していきたい。
長く続けるためにもきちんとした本を持って行きたい。自分の目で確かめ納得して読むと伝わりやすい。たくさん読むと自然に良い本がわかってくるので生涯学習と思い続けて欲しい。
お父さん、先生など男の人の声を取り入れる事も是非考えていって欲しい。

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