第6分科会 「これからの学校図書館教育(2)」
      〜学校司書にできること 低学年の読書 本の入り口に立つ子へ〜

助言者  戸谷 信一 (七二会小学校)
司会者  由井 尚美 (篠ノ井西小学校)
発表者  碓井 美恵 (芳川小学校)
山浦 弘子 (上田北小学校)
六川美奈子 (村上小学校)
由井 尚美 (芳川小学校)

1 討議の概要
(1) 「おすすめの一冊」を選んだ理由やおすすめのポイント等を紹介する。
(2) 子どもたちの読書の実態(様子)について話し合う。
(3) 選書や本の紹介の仕方等、日頃の実践や心がけていること等を話し合う。 

2 発表の概要
  (1) 児童の読書の様子

  • 読書(量)力に個人差がある。
  • 「かいけつゾロリ」「にんたま乱太郎」「怪談レストラン」「バムとケロ」「こわい話」・・・・・等に人気がある。(「人気がある」ということには、それなりの理由がある。)
  • シリーズの本にはまるとシリーズを通して読めるが、そこから読書が広がらないことがある。
  • 「かいけつゾロリ」を書棚からはずしたところ、他の本を読むようになった。
  • 読み聞かせやブックトーク、本の紹介等をすると、手に取って読んでいる。

(2) 日頃実践していること・心がけていること

  • 1,2年生には読み聞かせをたくさんする。
  • ブックトーク等、子どもたちに本の内容を紹介するように心がけている。(本の題名だけでなく、本の中身を知らせて手渡す。)
  • 読みたい本が選べない子には、個別に興味の持てそうな本を紹介する。
  • 中学年の読書に力を入れている。
  • 読んでほしい本のリストを作る。
  • 読んでほしい本で古くなったものは、新しく買いなおしている。学年の課題図書を担任の先生方に選んでもらっている。
  • 図書館に「おすすめの本のコーナー」を設けている。  

(3) 今後の課題

  • 読む力に差が出てくる中学年に適した本を充実させる。(本の情報を持つ)
  • 読み継がれている名作や読んでほしい本を子どもたちに手渡す工夫と努力。
  • 担任の先生方の関わり方で子どもたちの読書の幅も広がる。先生方へも働きかけたい。
  • 学校図書館に適した選書は、・・・ 予算の中でどのような本を選ぶか  ☆ 選書の基準と信念を持つ
  • 図書館の整備
    ☆ 本の配置の工夫          ☆ おすすめの本のコーナー
  • 手渡したい本や読んでほしい本のリスト作成

3 助言者のご指導
   どうやって子どもに図書館を学習の場にするか。

  • 全校一斉読書の実践。
  • 学校の中心は図書館。
  • 公共図書館との連携。

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第7分科会  「これからの学校図書館(3)学校司書にできること 」
   「高学年からの読書 〜旬はケイタイだけじゃない〜」

世話役 角田 都貴江 (長野市 豊野東小学校)
司会者 矢口 芙美子 (伊那市 伊那小学校)
発表者 矢口 芙美子 (伊那市 伊那小学校)
       奥原 貴美子               
(茅野市子ども読書活動応援センター)
       柳澤 知 恵 (佐久市 臼田小学校)
       柳澤 美佐子 (茅野市 長峰中学校)

1,発表の概要
 *はじめに 〜司会の矢口先生より〜
  今、日本だけで年間約8万点(約200点/日)以上の本が出版されている。電撃文庫が人気を集めていたと思えば、今度はケイタイ小説と流行の変化も早い。そんな波に押されず、その子にあったその子なりの旬のものを手渡せるよう、共有できる感性と情熱を持ち続けましょう。
といった内容のお話がありました。

 (1)“旬”の本の紹介  〜2006年以降に出版されたもの〜

  • 異界から    柳沢知恵先生
         「かはたれ」朽木祥‖著 福音館書店 他4冊
        ・子どもたちの大好きな異界のお話の本を、様々な切り口で紹介して下さいました。
  • 食べ物 矢口芙美子先生
         「戸村飯店青春100連発」瀬尾まいこ‖著 理論社 他4冊
        ・食べ物をテーマに、スケッチブックの絵による楽しい説明と共に巾広い視野で紹介して下さいました。
  • スポーツ    奥原貴美子先生
         「チームふたり」 吉野真理子‖著 学研 他4冊
        ・北京オリンピックの興奮・感動が冷めやらぬこの時期、まさに旬の本を紹介して下さいました。
          スポーツ精神のみならず、友情や思いやりの気持ちも育みます。

 (2)事例報告     柳沢美佐子先生
     中学生の読書をめぐる状況について 〜茅野市の事例から〜
     茅野市の中学校司書会では、中学生にお薦めの本リスト「本と友達になろう」を作成。
     茅野市内4校中学部会のとりくみ及び長峰中学校のとりくみの報告。
      例:リストを活かしたBOOKWALK・学校図書館とほかとの連携 など

2,情報交換
    参加者35名がA・B・Cの3つのグループに分かれて、勤務状況・予算・蔵書数や、普段感じていることを交えて自己紹介し、「10代の子どもたちに是非読んでもらいたい」として持ち寄った本を紹介しあいました。

3,まとめ
    皆さんの仕事や本に対する思いが伝わってきました。今日の会で得たことを現場に持ち帰り、是非これからの図書館運営に活かしていきましょう。

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第8分科会 「子どもと本を結ぶ活動(1)」
    

    
助言者 堀内 敏明(長野教育事務所主任指導主事)
司 会 三浦 和弘(長野市立共和小学校)
発表者 島田みどり(山ノ内町立山ノ内東小学校)
湯本 奈苗(白馬村立白馬北小学校)
有賀  稔(辰野市立辰野中学校)

1 発表の概要
(1) どの子にも本に触れる機会を増やし、読書の幅を広げてほしいと願い、図書委員の児童を巻き込みながら環境づくりや情報提供に取り組んだ実践事例
(山ノ内町立山ノ内東小学校 島田みどり教諭)

  1. 図書委員会の活動の充実[図書委員会は、課題意識をもった働く委員会!]
    ・ 季節に合わせた本の紹介 「図書委員がおすすめする本」コーナーの設置
    ・ 春・秋の読書旬間のおはなし会 委員全員による紙芝居やパネルシアターなどの上演
    ・ 読書クイズ作り 委員作成の20問のクイズ(ヒントの本あり)に挑戦!参加賞付き
    ・ 貸出冊数の発表(前日の貸出数の提示)
  2. 地域の読み聞かせボランティアやPTA図書会報部との連携・協力
  3. 教科学習に合わせた図書資料の活用

(2) 司書教諭として司書と協力しながら取り組んできた子どもと本を結ぶ実践事例
(白馬村立白馬北小学校 湯本 奈苗教諭)

  1. 本を探しやすく、読みやすい環境づくり 本を大事にする子が増えた!
  2. 図書館の時間を使った、各学級への関わり 子どもだけでなく先生の関心も高まった!
  3. 本を使った学習の計画
    ・ 「見つけよう読書」(テーマを決めて1時間読書 一言感想)

(3) 各教科と図書館がタイアップした学習活動の実践事例
                      (辰野町立辰野中学校 有賀 稔教諭)

  1. ブックトーク「美しい数学、楽しい図形」の授業の実際
    (図書館教育係で数学科の有賀先生と司書の上島先生が実際にブックトークを発表)
  2. 司書の発信から、新たな広がりへ
    ・ 図書館だよりに載った生徒の感想から、他教科でも図書館にタイアップ要請

2 討議の概要
(1) 図書委員の育て方・意欲の盛り上げ方
(2) 図書館の環境づくりの実際・職員の関心の高め方
(3) 各教科とのタイアップ学習に対する生徒からの反響

3 まとめ(助言者:堀内敏明先生のお話より)
(1) 出会える・探せる環境づくり

  1. 行きたくなる図書館に
  2. 司書教諭と司書の連携で、図書館の環境や使い方は変えられる
  3. 図書委員に自覚とやりがいをもたせる活動の工夫

(2) 学びが広がり深まる授業づくり

  1. 司書と教科の連携 教科と組んで図書館の本を広く知ってほしいという司書の願いを係や教科が受け止めるところからスタート
  2. ブックトークをとおして 生徒の「不思議だな」が「納得」に変わると、図書館の本を知るだけでなく、その教科の特性や価値を生徒が知ることにつながる

(3) 司書教諭の果たす役割

  1. 授業の中に入っていく 先生の意識が変わり、共通理解が図れる
  2. 読書活動の支援 読書の質の変化からその子の育ちをとらえ、子どもに、保護者に、担任にかえしていく
  3. 情報活用の支援 必要な時期に必要な読書を
  4. 公共図書館との連携 情報量の増加
  5. 利用の年間指導計画の作成と活用 各教科で必要な本を準備し、環境づくりに生かす
  6. 学校の職員を巻き込んで

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第9分科会  「子どもと本を結ぶ活動(2)」
     


助言者   小池  隆 先生(教学指導課指導主事)
司会者   岡沢  淳 先生(長野市立三陽中学校)
発表者   宮坂 真由美先生(塩尻市立宗賀小学校)
小出 喜代子先生(上田市立神科小学校)
      青木 典子先生(小布施町立小布施中学校)

1. 発表の概要

  1. 読書意欲を高めていけるような低学年での学級の読書指導の取り組みの工夫。
    ・ 読み聞かせコーナー(教室にカーペットを敷く)、紹介コーナーを作る などの環境作り。
    ・ お話や本に親しむために学年合同で時間を設定する。
  2. 読書意欲を高めるため、学校としての実践
    ・ 友だち同士で本の紹介を行うなど、朝読書の活動を大切に扱う。
    ・ 100冊の本を書き込める読書カードの活用。読書傾向が分かり、指導することができる。
    ・ 地域ボランティアの方の読み聞かせ。子どもの反応を伝え次回からの工夫につなげる。
  3. 中学校での実践
    ・ 読書旬間の活動の充実を図る。
    図書委員会としての活動。委員会生徒も一緒に行う店頭購入→その後のPR活動。読書クイズやスタンプラリーなどの企画によって貸し出し数の伸びが見られた。
    ・ 図書館環境作り。図書館だけでなく校内に図書館に関わる情報を提供する。

2. 討議の概要

  1. 学校図書館との関わり。 季節にあった掲示物、月別のテーマに沿った本の展示、お便りを通して、または、学年や職員室から声をかける取り組みを。職員同士で図書館のことを知ってもらうことも大切。
    常に本のある環境を整えるために学級文庫(図書館の廃棄本など)の活用も有効である。
  2. ボランティアの読み聞かせについて、担任の先生の関わり方で生かしていくことができる。担任の先生の活動も統一してくれるとさらに本が好きになっていくのではないか。
    ・ 日々の実践の積み重ねが、読書活動の活性化につながっていく。
  3. 児童・生徒が読みたい本と教師が読ませたい本にはギャップがある。漫画要素の強い本がなければそれ以外の本を読んでいる。子どもたちのアンケートだけに頼る選書は避けるようにしていくのが望ましいのではないか。
    ・ 冊数ばかりを比べるのではなく、読書傾向を調べるのはパソコンでのデータ管理が有効。

3. まとめ
・ 読書の習慣づけを。
読書は好奇心、想像力につながっていく。教室環境、読み聞かせ、家庭や地域の連携(読書教育の意義を子どもたちに教えることができる)など、多様な活動によって、「読書っていいな」と思うような経験を積んでいくことができる。
新学習指導要領では「言語活動の充実」を改訂の機軸としている。学校図書館を計画的に活用した学習活動を行う。子どもたちの必要感や追究の見通しをもった活動が大切になる。

・ 読書指導の意義・意味を考える。
朝読書は多くの学校で実践されているが、学校内でなぜ行うのか意義を確認することが大切である。読みたい本と読ませたい本のギャップについても職員同士で話してみたい。意義を確認しながらの習慣がその学校の文化になっていく。

・ 活動の多様化。
図書委員会の活動を盛り上げることで読書が盛り上がる。貸し出し冊数での評価は見えやすいので行いがちだが、難しい。数か質かも考えさせるといい。司書の先生と対話を大切にして授業で使える本を探す。それが読書指導のカリキュラムになる。

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第10分科会  「子どもと本を結ぶ活動(3)」
〜公共図書館(団体貸出等含む。)及び読み聞かせグループ等との交流・連携〜

 
助言者 清水 祐子(総合教育センター専門主事)
司会者 嶌田 均(安茂里小学校)
発表者 桜井 ゆかり(宮川小学校)
田澤 五百枝(岩村田小学校)
山岸 秀人(更埴西中学校)


1 発表の概要
 (1)桜井 ゆかり
   茅野市立宮川小学校での読書活動、読み聞かせ活動、公共図書館との連携について。
   ・朝の10分間読書
   ・読み聞かせボランティア「読りーむinちの」の活動
   ・公共図書館内に設置されている「子供読書活動応援センター」との連携

 (2)田澤 五百枝
   佐久市立岩村田小学校での読み聞かせ活動について。
   ・PTA教養部による読み聞かせの会の活動

 (3)山岸 秀人
   千曲市立更埴西中学校での読書活動、読み聞かせ活動、公共図書館との連携について。
   ・読書アドバイザーによるブックトーク指導
   ・全校読書時間の効果的運用
   ・読み聞かせグループ「四季の会」の活動
   ・千曲市の配本システム「ブックネットちくま」とその活用・実践


2 討議の概要
 発表を受けて、取り組みにおける注意点や工夫など、さまざまな意見交換が行われた。
分科会に出席していた佐久市岩村田小学校PTAの方からも、実際に読み聞かせ活動を行っていく中での努力や苦労なども発表された。


3 まとめ
  助言者 総合教育センター専門主事 清水祐子氏からの講評。
  「とてもいい情報交換ができていた。学校だけで育てる時代ではないという意識が地域に根付いてきており、学校と地域のバランスを保つことが重要で、行政による連携調整がほしいところ。ボランティア活動は『継続する』ことが重要で、どのような経過があり、現在の位置づけのための工夫など素晴らしい議論が行われた。」

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