第11分科会  「学生にとって活用しやすい大学図書館のあり方」
      〜図書館オリエンテーションを通して〜
司会者  田村栄子(清泉女学院大学・短期大学図書館)
発表者  内海 広(信州大学附属図書館繊維学部図書館)

1.発表の概要
信州大学繊維学部の概要、学部で進行中の3つの文部省も注目する教育研究プロジェクト、繊維学部図書館の規模と概要を説明した。
研究室向けオリエンテーションはこれまでの依頼を待つ形でなく、利用者増、データベースの利用促進、図書館の短期・長期目標等の観点から、積極的に図書館から企画・提案し、研究室に出向き実施した。実施にあたって、データベースの利用許可申請、研究室毎のレジュメ作成等の前準備が必要であった。研究室オーダーメイドを目指し、内容は、文献収集の流れ、和洋別の電子ジャーナルリストの説明、OPACの利用方法、各種文献データベース(SciFinderScholar、Web of Science、Scopus、CiNii、MagazinePlus)の利用方法をデモンストレーション形式に実習を混じえて行った。予想以上の参加者があり、実施後のアンケートでも、ほとんどの参加者から「理解できた」と回答を得た。
今後の課題として、目標・対象に応じた内容の再確認(参加者の習熟度、データベースの選択等)、オリエンテーションの形式(デモ型、実習型等)、教員との連携(日頃のコミュニケーション強化、要望の把握等)、図書館HPの内容強化(PR、資料掲載)、説明者の育成と研修が挙げられた。

2.討議の概要
 ○信州大学のオリエンテーション(情報リテラシー教育も含めて)どのように行っているか。
学部1年生は授業の中で必修ではないが実施。2年生以上は所属の学部で実施。
○図書館の利用向上を目的としたオリエンテーションだが、例えば「データベースの接続回数」等で結果を確認したのか。
可能だとは思うが、統計では確認せず、実施後のアンケートで確認した。
○学年別の参加者数は?
研究室所属学生なので、学部4年生以上だが学年別にはわからない。
○図書館員の育成について今後の計画はあるか。
係内の研修で2人1組体制が組めるが、データベース別のプロの講師による学内講習会を実施し、職員のスキルアップにも役立てたい。
○現在、オリエンテーションを実施して効果のありそうなデータベースはあるか。
GoogleScholarが充実し始めている。CiNii、PubMedは無料公開のため卒後も使用できる。
○高校の参加者から、大学図書館からみた高等学校図書館でしておく図書館教育は何か。
レポートの書き方等はどうか。現在は入学時に「図書館の使い方」等指導している。
信州大学は「新入生ハンドブック」という冊子を発行。資料収集、レポートの書き方等授業で説明しているが学科により履修内容は異なる。

3.その他
司会者からの提案で、「図書館開放」の実施状況を発表した。大学については、閲覧のみの実施が多く、図書を館外貸出しているのは数校。高校の図書館も以前はトップダウンで実施。現在は高校生を優先に実情に沿った開放を実施している。地域公共図書館の、専用端末を設置している大学もあった。
最後に来年度の図書館大会についての連絡等があり、定時に分科会を終了した。

                 記録 野口 眞澄(信州大学附属図書館農学部図書館)


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第12分科会 「子供と本を結ぶ活動」  
     〜読み聞かせグループの実践を通して〜

助言者  森済冨美代   ふわふわしっぽ(佐久市)
司会者  井出 道子   佐久市PTA親子文庫
発表者  小林 順子   絵本の会   (佐久市)

1. 発表の概要
 絵本の会は、佐久市立泉小学校で読み聞かせを行っているグループです。選書を大切に考え、指導者の推薦書を参考にすると共に、自分たちの感性を磨く必要性を感じ、月1回の勉強会を行っている。その1つとして“比べ読み“を実際に分科会で体験していただく。

2. 討議
1)絵本の読み比べ
  (1)「パンはころころ」マーシャブラウン作 やぎたよしこ訳 と「しょうがパンぼうや」
ポールガルトン作 ただひろみ訳
  (2)「かいじゅうたちのいるところ」モーリスセンダック作 じんぐうてるお訳 と
   「めっきらもっきらどおんどん」長谷川節子作

 2)参加者の感想等
  (1)・言葉にスピード感、リズム感があり、テンポの良い本である。
   ・パンが動き出し、最後にはキツネに食べられてしまうお話だが、そこまで行く課程は
ハラハラ、ドキドキの内容でキツネとの駆け引きはキツネのズル賢さがよく現れている。
   ・「しょうがパンぼうや」は最後のところでは勢いがなくなってしまうような感じがする。
  (2)・「かいじゅうたちのいるところ」    絵が冷たい感じがある。
    途中、文章が無く絵だけのページがあり、聞き手側が想像できる。
    ページが進むにつれ余白が少なく絵の部分が多くなっています。子供の内面を絵本にしているような作家の個性が強く出ている作品である。
   ・「めっきらもっきらどおんどん」  おばけ達にも言葉や感情がある。
    歌詞のような表現があり、子供達自信で節をつけ歌っている。
   ・どちらとも、おばけやかいじゅうのいる世界に入り違う世界を過ごした後、現実に引き戻されるものがたり。
   ※絵本の会では、「パンはころころ」「かいじゅうたちのいるところ」を読み聞かせに使っている。

3.まとめ
 ・絵本の読み聞かせは耳で音を聞き、目で絵を楽しむ事ができる。
 ・大人には様々な情報があり先入観をもって見てしまいがちですが、子供の心は純粋で、絵本の主人公になりきって、作曲したり感情を表現したり出来るので、読み手側はシンプルに読むようにしている。
 ・年代、作者、訳者、絵、言葉等は異なるが、同じ様な内容の本が多々ある。日本の昔話等は多くの出版社、作家が手掛けている。色々読み比べてみるのも良いと思う。
 ・普段、大人は読み聞かせをしてもらう事が少なく、「今回体験して新鮮だった。」という声もありました。大人同士で読み聞かせし合い、絵や内容、表現の仕方、言葉等感じた事を議論し、他人の見解を知るのも、読み手自身の感性を磨く1つの方法だと考えます。
 ・多くの本を手に取り読み返す事で、奥深さを味わう事が出来ると思います。そして、読み聞かせをする事で子供達に本を読む楽しさ生きる事の美しさや愛情を伝えていけたら、また、伝えていって欲しいと願っています。

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第13分科会 「読み聞かせの方法と実践発表を通してより効果的な読み聞かせのあり方について学ぶ」
助言者   小島佐和子           (長野県PTA親子読書推進の会顧問)
司会者   清水 幸美           (中高PTA親子文庫)
発表者   宮田 千春  水間 滋子  青柳 節子  黒岩 正子  池田 理子
                      (穂高母親文庫こだまの会)
      丸山 浩  小高 朗      (おとこぐみ <中野市>)

1 発表の概要
@ 穂高母親文庫こだまの会
○「くもの糸」ブラックシアターを使って 朗読一人 操作二人、バックミュージックあり。
○「てんてん虫」プロジェクターを使って 二人で交代に朗読
  *絵本・紙芝居の拡大使用は、非営利であっても許可が必要。出版社に連絡をとって、申請書を出し、許可が出るまでに2ヶ月かかった。
○「きりかぶ」群読 五人で配役を決めて読む
助言 ・ 読み聞かせというと、とかくお話の本に偏りがちだが、今日の「てんてん虫」のように科学系の本もよい。
・ ブラックシアターは、普段はかわいいお話に用いることが多いが今日の「くもの糸」のような渋いお話でもよい。色々な物を色々な風に使ってみてほしい。
・ 群読は、その人に合った声で配役を決めると面白い。
A おとこぐみ
○丸山さんの発表
自己紹介… 家庭でも学校でも男の声というものはなかなか出番が少ない。子ども達に低い声を聞かせてあげよう、そんな思いから活動を始めた。月一回の勉強会を開いている。
「かにつんつん」絵本を使って読み聞かせ(会場から笑いがこぼれる)
「さんびきのやぎのがらがらどん」絵本を使って読み聞かせ
○小高さんの発表
自己紹介…子どもが三人いて毎晩寝る前に2~3冊読み聞かせしている。その時間は至福の時である。そんな時間を世のお父さん方に味わってもらいたいと思い活動を始めた。
「どうぞのいす」大型絵本を使っての読み聞かせ
「しりとりの大好きな王さま」わが子(5歳)が大好きな絵本、読み聞かせ
助言 ・ 男の人の低い声って素晴らしい。
・ 親子の間ではどんな本を読み聞かせしてもかまわないが、大勢の子どもの前でやるためには選本をしてほしい。
・ ナンセンス絵本は男の人の読み聞かせに向いている。
・ お父さんに読んでほしい本は、お化けの話、落語絵本など

2 討議の概要 (質疑、応答)
Q,大型絵本のついたてはどうしたのか?
A,鈴木出版で5,000円くらいで購入できる。
Q,「かにつんつん」を喜ぶ年齢は?
A,小学校高学年、音のリズム感を子どもは敏感に感じ取っている。
Q,群読の元の本は?
A,偕成社「きりかぶ」3冊シリーズ


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